gn to t.Y. 覚え書き

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覚え書き

世界大戦争

オープニング、映像の無いまま音楽だけが流れます。壊れたわけではありません。状況は違うが「渚にて」を思わせる終末的映画。核兵器発射のミスとかは「未知への飛行 -フェイル・セイフ」にも似ている。同じ大戦争でも「宇宙大戦争」はSF的創造感の勇気ある映画でしたが、こっちは社会映画。SF的なところは、舞台が同盟国と連邦国軍で分かれた世界というところ。宝田明さん・星由里子さんからフランキー堺さん・乙羽信子さん、はては笠智衆さんまで、若手・中堅・大御所勢ぞろいの大作。特撮作品でキワモノに見られそうな映画でありながら、役者名鑑のように贅沢さ。戦争なんて絶対起こらないさと思っているお茶の間と大国の思惑。信じられなさが招いた悲劇。戦争を知っている役者さんだから言える台詞も多い。戦後16年の日本ということは、星さんの役を20歳として、産まれたのは終戦4年前。家族はそこから立ち直り、落ち着いたところで次女に長男を産んだのだなあと考えると、姉・妹・弟の年の差に納得する。その間にフランキーさん・乙羽さん夫婦はがんばったんだろうなあ。東宝特撮といえば怪獣やら宇宙人が目立つが、戦争映画の飛行シーンが注目されるきっかけだそうだから、この映画での使われ方が特撮の本道なんでないかなあ。誰もいない道をお経を唱えながら横切る太鼓の集団と、遠くから走ってくるおはるさんのシーンが良い。なんだか引き具合が絶妙。フランキーさん一家の最期の食卓が普通で良い。音楽が良い。結果的には日本の総理の声に耳を貸す者はだれもいなかった。言葉ばかりでは生き残れないことが良くわかる。飛んでくるミサイルだけはどんどん撃ち落せるようになってほしい。宝田さんたちが乗る船の行き先に、「渚にて」の船員を連想します。たとえどんなことになっていようと帰りたいというものか。山村聰さんの総理と上原謙さんの大臣はナイス配役。よく似合ってます。フランキー堺さんとジェリー伊藤さんはモスラでも一緒だったなあ。浅草東宝オールナイトを思い出す一本。曇り。

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